「かたき同志」熊谷真実・金子昇・木戸邑弥・込山榛香インタビュー
名作『かたき同志』に新風、世代を超えて紡ぐ人情喜劇
石井ふく子の演出のもと、呉服問屋・越後屋の女番頭を演じる熊谷真実、旗本三男坊の松下源之介を演じる金子昇、ひさご亭の女将かめ(藤山直美)の一人息子・清太郎を演じる木戸邑弥、そして越後屋のお鶴(高島礼子)の一人娘・お袖を演じる込山榛香。本公演で初めて『かたき同志』に出演する4人が、石井演出や喜劇作品への思いを語った。
『かたき同志』といえば、川を挟んで向かい合う居酒屋ひさご亭の女将かめと呉服問屋のお鶴の大げんか。今回は藤山直美と高島礼子が火花を散らす。そんな二人に笑って泣いて。喜劇の醍醐味を大いに味わえる一場面だ。
「尊敬する大先輩の藤山直美さん、『女たちの忠臣蔵』でご一緒させていただいた高島礼子さん、そして石井先生の演出の喜劇となると、絶対にこの座組に入りたいとわがままを言って入らせていただきました。私は高島さんを支える女番頭の役なので、お稽古場でも本番でもムードメーカーとなり、楽しくできればいいなと思います」と熊谷、改めて意気込みを語る。
「まだまだ暑い時期に直美さんと礼子さんが舞台で熱いけんかを繰り広げます。僕はその間に立って、清涼飲料水のような爽やかな空気を醸し出せたらと考えています」と金子、清々しい笑顔を見せた。
石井の演出作に出演することは「役者として幸せなこと」と熊谷、次のように続ける。「石井先生に巡り会えたこと自体が宝物だと思っています。石井先生にお芝居の全てを教えていただいたように思います」。
金子は、2016年の舞台『おたふく物語』以来、9年ぶりの石井演出だ。「石井先生が思っていること、感じていること、作りたいものを一つでも多く味わいたいと思っています。出しゃばらず、そこにいたの?と思われるような存在感の松下源之介を作り上げたいですね」。
熊谷と金子の話を真剣な眼差しで聞いていた木戸と込山。木戸は、「僕は藤山直美さんの一人息子の役なので、息子として直美さんのいろんな表情を引き出せたらと思っています。そのためにいろいろ準備して稽古に挑みたいですし、そうすることがお客様にも喜んでいただける良い作品に繋がるのではないかなと思います」と期待を込める。
「喜劇に出演させていただくのは初めてなので、一から学ばせていただきます。お袖のお母さんが憧れの高島礼子さんなので、娘役としてご一緒できることが本当に光栄です。こうして熊谷さんと金子さんからたくさんのお話を聞くことができたので、改めて頑張ろうと思いました!」と込山、目を輝かせた。
『かたき同志』は8月30日(土)にいよいよ開幕、藤山直美VS高島礼子による大バトルの火蓋が切られる。
取材・文 岩本和子
撮影 高村直希 ※正しくは「はしご高」